パーソナルトレーナーとして、常々お客さんに「運動習慣を作りましょう」とお伝えしている。
筋トレしかり、キックボクシングしかり、自分に合った運動、気持ちのいいスポーツを見つけられると習慣化しやすい。
適度な運動が習慣化されれば、心身ともに健康でいられる。
なかでも特に痩せる、体脂肪を落とすという目的においてランニングは最適な運動で、時間も場所も選ばず、身一つで実践できる点でオススメだ。
お客さんにランニングを勧める際に幾つか本を紹介することがあるが、中野ジェームズ修一さんの「世界一やせる走り方」もその一つ。
これから健康維持のために走ろうという方、痩せるために運動の必要性を感じている方はぜひ読んで欲しい。
ランニングを習慣化し、痩せるために必要なヒントが散りばめられている。
ここでは、本書を一読して私にとって印象的だったポイントに絞って紹介する。
走り出すために
ランニングを習慣化するためには、まずは走り出さないといけない。
「いつか始めたい」
「タイミングが合ったら」
そんなセリフを言い続けて時間だけが過ぎていないだろうか。
気持ちよく走り出すためには心理的なハードルを下げること、走り出すための環境を整えることが重要だ。
三日坊主を恐れない
続かないことを恐れるあまり、スタートを切れないというのは本当に勿体無い。
5年、10年とランニングを継続しているランナーたちにも走り出した1日目が存在する。
ベテランランナーたちが最初から皆が休まずに走り続けていたわけではないし、忙しければランに十分時間を割けない日もある。
三日坊主でもいい。最初から毎日走る必要だってない。まずは月に1度でも2度でも走れたらオッケーだ。
その頻度が月に4度になり、週に2度になり。少しずつ走ることが自分の習慣となっていけばいい。
三日坊主になっても構わない。走ろうと思い立った日が吉日だ。
お気に入りのシューズとウェアを揃える
そもそも履き心地の良くないシューズや、着心地のいまひとつなウェアでは気持ちよく走ることはできない。
初心者であれば十分なクッション性のあるランニングシューズを入手すべきだし、オシャレで自分の気持ちが上がるウェアを用意すべきだ。
自分にとって快適なツールを揃えよう。ツールと環境が整えば、走るということにポジティブな理由付けが備わっていく。
ランを継続・習慣化するために
走り出すことに成功したら、次は継続・習慣化するための方法について考えよう。
このフェーズでは自分の動機を知ること、焦らないこと、成果を楽しむことに注力していく。
痩せたい理由を明確にする
個人差はあるものの、ランの成果が体重や体型に現れるまでには一般的に時差がある。
続けるためには、なぜ痩せたいのかをより明確にすることが役立つ。
理由もなしに人が何かを続けることは難しい。
痩せてコンプレックスを解消したいのか、夏までに痩せて素敵な水着を着たいのか。
パートナーと素敵なデートをしたい、挙式までにすっきりとしたい。
自分にとっての動機を明確にして、続けることに疑問を感じた際にいつでも思い出せるよう手帳や日記に書き記しておこう。
すぐに結果を求めない
結果を焦り過ぎることもランの習慣化にはマイナスに働く。
焦る人ほど挫折するというのは、私のこれまでの経験とも一致する。
本書で紹介されているが、中野さんだって1年近くランで体重が動かなかった時があったそうだ。
身体には今の状態を維持しようという恒常性がある。1年続けても結果が出ないことだってある。
そうした時に心が折れないためにも、すぐに結果を求めないという姿勢が大切だ。
オーバーワークに気をつける
モチベーションが高いのはいい。やる気に溢れている状態は素晴らしい。
だが、それが行き過ぎるとオーバーワークに陥る。
オーバーワークとは運動をし過ぎている状態。休養が足りていない状態。
身体的には怪我を負いやすく、心理的には元気が出ない、気持ちが塞ぎやすい。
この状態では健康的にランを継続することは難しい。
意欲が高いのは良いことだが、心身に疲れがある際は思い切って休むことが重要だ。
ログを取って成果を視える化する
自身がランに費やした時間や走った距離の総計を知ることはモチベーションに繋がる。
ナイキランクラブやApple Watchなどのツールを使えば、これまでの成果が視える化される。
私自身過去2年分の筋トレの記録を一冊のノートに残している。これが良い。
自分がどれだけ筋トレという1つのことを続けてきたのかが一目瞭然だし、自信にもなる。
ノートを見る度にこれからも積み重ねていこうという気になる。
ラン効率を最大化するために
習慣化に成功したならば、遅かれ早かれ身体は改善されていく。
ここからのフェーズはさらに一段階自身のラン効率を高めるための項目だ。
脂肪燃焼するペースで走る
とにかく早く走ればいいと考える方もいるようだが、実際には脂肪燃焼するのに適したペースというのが存在する。
早過ぎるペースでは、身体は脂肪よりも糖をベースにエネルギー消費をするし、それは筋肉の分解にもつながる。
また早過ぎれば、長い時間を走れない。
本書では最大心拍数の60-80%のペースが脂肪燃焼に効率的と推奨されている。
具体的な機器のない場合でも対応できるよう、アナログ手法の心拍の計測の仕方にも言及されている(詳細は本書に譲る)。
人によってペースは異なる。今の自分にとって最大心拍数の6-8割となるペースで効率的なダイエットランをしよう。
心拍計を導入する
前項の脂肪燃焼ペースを計測するために、ツールとして心拍計を導入するのもいい。
活動量計や心拍計機能のあるスマートウォッチは、様々なメーカーからクールなデザインのものが多数展開されている。
これを機にアマゾンや近くの量販店で心拍計を調べてみると良い。
1km走って消費するカロリーを知る
ランで消費するカロリーを知っておくとダイエット計画を立てる際に役立つ。
詳細な式もあるが、本書ではシンプルに1km走って消費するカロリー=体重分のキロカロリーと紹介されている。
60キロの人が1km走れば60キロカロリーというわけだ。
自身のランニング計画にカロリーを導入する際に役立てよう。
最後に:自分の成功パターンを知る
以上。主にダイエットを目的としたランニングのポイントを、本書のレビューを兼ねてまとめた。
上記全てを参考にしてもらっても、使えそうな部分をピックアップしてもらっても良い。
大切なのは自分の成功パターンを構築するということ。
自分を知り、ダイエットランを継続・習慣化するための情報となれば幸いだ。